トラブル未然防止だけじゃない!リスクマネジメントから事業価値の向上まで。参議院法制局で法律案を作っていた企業法務弁護士による契約書作成・リーガルチェック(レビュー)

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はじめに

あなたは、「契約書や利用規約の意義って何ですか?」と言われるとき、どのようなことが頭に浮かびますか?
「トラブルの未然防止のために、当事者がどのような内容に合意して、どのような権利義務を有するのかを明確にする。」などでしょうか?

たしかに、これは正しい答えの1つです。しかし、契約書(利用規約を含みます。以下同じです。)は、それにとどまらない役割を持っています。

契約書は、いわば取引の取扱説明書であり、これが適切に作成されることにより取引の円滑な遂行につながります。また、契約書は、契約リスクのコントロールのツールであり、ビジネスや会社の価値向上を支える存在です。

以下では、契約書やその作成・リーガルチェック(レビュー)の重要性について、お伝えさせていただければと思います。

トラブルの原因になりうる契約書の例

では逆に、「トラブルの原因になりうる契約書」と聞いて、どのような契約書や契約条項を思い浮かべますか?
「自社に不利益な規定や、あいまいな規定かなあ。」と思われるかもしれませんね。

正しい答えの1つだと思います。
では、もっと具体的にイメージはできますか?

トラブルの原因になりうる契約書や契約条項は、取引の個性や契約書の個性により様々です。なので、非専門家による具体的な失敗例を思いつくままあげるだけでも多数にのぼります。例えば、次のようなものがあります。

  • 許認可制の事業を行っている。省庁が公表している契約書ひな形を修正して利用しようとしたところ、法律で義務付けられている行為を行わないという内容の契約書に修正してしまった。
  • 下請法の適用があると気付かず、下請法に反する契約内容となっている。
  • 法的スキームを誤解して作った契約書によって、会社をわずかな金額で譲渡してしまった。それ以上、譲渡対価を請求することができない。
  • 提供されると思っていたサービスが、契約書に定められておらず、そのサービスを受けられない
  • 交渉の際に、契約相手が、当方に有利な取扱いをしてくれると口頭で言ったものの、契約書には定められておらず、結局、そのような取扱いをしてもらえない
  • 確実に実行できる見込みのない義務を定めた契約書を交わしてしまった。債務不履行のリスクがある。リスクヘッジもしていない。
  • 損害賠償額が多額になることが予想されるが、自社の損害賠償責任の上限を定めていない
  • ウェブサービスの利用規約に定めた責任制限規定が消費者契約法に反してしまった。この規定が無効になる可能性がある。
  • 基本契約書において、個別契約は当事者双方が記名押印した書面により行うと定められている。しかし、実際には発注書と請書により個別の取引を行っているので、基本契約書が実態に合致していない
  • 「秘密」と明記された情報を秘密情報として保護する旨の定めがある。しかし、実際には電話で打合せすることが多い。そのため、守りたい情報を提供する場合に「秘密」と明記しなければ保護されないというのは、現場の負担が大きい
  • 条項や用語に矛盾やあいまいな点があるため、取引遂行や紛争対応の際に指針とならない規定がある。
  • 誤った契約書ひな形を使ってしまい、自社の戦略上必須な知的財産権が契約相手に帰属してしまった。
  • ひな形を利用してウェブサービスの利用規約を作成したが、実際のサービス内容やサービスフローとの間にズレがあり、自社のサービスを正確に表現できていない。そのため、サービス提供や紛争対応の際に指針とならない規定がある。
  • M&Aの対価に、自社の基盤となっている重要な取引の契約リスクが影響しそうだ。
  • 自分に有利になるようにと思い、弁護士に相談しないで自作した覚書に、相手方をして署名させたが、覚書の内容は、むしろ裁判で不利になるものであった。
  • リスク回避をしようと思い、弁護士に相談しないで自作した文言を追記したが、民法の体系と整合しておらず、よく意味の分からない条文になってしまった。

いかがですか?「こんなこともあるのか!」ということもあったのではないでしょうか?

「契約書作成も契約書チェックも、そのうちキチンとやろう。」「契約書の内容よりも、早く契約書を交わして取引を開始することを優先したい。」その気持ちはわかります。取引をする度に、必ずトラブルが発生するわけではありませんから。

しかし、トラブルが発生したり、取引が円滑に遂行できなかったり、ビジネスの価値が傷付いたりするような事態が実際に発生したとき、「そのうちやろう。」と思っていたことを悔やむ方もいらっしゃいます。

きちんと契約書作成・チェックを行わない場合、それを行った場合に比べて統計的に、契約書を交わすたびにトラブルのタネを抱えた契約が増加していくといえます。

予防は治療に勝るのです。

契約書作成・リーガルチェック(レビュー)の重要性

契約リスクマネジメントのツールとしての契約書

では、どうすればトラブルの未然防止に役立つ契約書を作成することができるでしょうか?
想定外の事態が発生する可能性をゼロとすることはできないためリスクゼロの契約書を作成することは不可能であるとしても、できる限りリスクを低減・コントロールできる契約書を作成するには、どうしたらいいでしょうか?

まずは、取引やビジネスに対する認識と理解が必要です。そして、内在するリスクや法的問題を抽出・分析し、これらへの対応策や代替策を検討していくこととなります。

ケースバイケースとなりますが、例えば、次のような事項を確認・検討したりします。
(弁護士に依頼する場合には、このような事項について、弁護士とコミュニケーションを取ります。)

  • この取引の目的は何か?
  • 誰が、誰に対して、どのような場合に、何をどのような方法で行うのか?
  • 法的に正しく整理できているか?
  • 取引のフローはどのようになっているか?支払サイトは大丈夫か?
  • この契約書のとおりに取引を遂行できるのか?義務を履行できるのか?
  • 取引遂行の過程において、どのようなリスクが発生しうるのか?その確率や重大性はどの程度だろうか?
  • 当事者間のリスクの配分はどうするか?
  • 契約違反が発生した場合の救済手段にはどのようなものがあるのか?実効性はあるか?
  • 関連する契約と整合しない点はないか?
  • 関連する法令に反しないか?
  • 今回の取引の背景事情にどのようなことがあるのか?
  • 自社の戦略や今後の事業展開はどのようになっているのか?

このようなプロセスを経た上で、正確かつ可能な限りあいまいさがないよう、取引の内容や条件等を契約書ドラフトに表現していく必要があります。

そして、契約相手からの修正意見等があれば、リスクや法的問題の抽出・分析、対応策・代替策の検討を繰り返します。また、これにより、取引に関する当事者間の認識のズレが浮かび上がりますので、当事者間の認識の一致も図られていくことになります。

このようにして、トラブルの未然防止に役立つ契約書、言い換えれば、契約リスクマネジメントのツールとしての契約書が磨き上げられます。

契約書というツールを通じた事業価値の向上

そして、契約というツールを通じた適切なリーガルリスクマネジメントのもとでの事業遂行は、リスク・損失が抑えられ、また事業遂行自体が円滑になり、事業価値の向上につながります。

取引の円滑な遂行に資するツールとしての契約書

また、このようなプロセスで作成されることから、契約書は、取引の管理ツール、いわば取扱説明書(トリセツ)といえます。
取引のそれぞれの場面において、何をするべきかを示し、取引の円滑な遂行に資するツールといえます。

契約当事者間のいわば「法律」としての契約書

さらに、契約書は、当事者間のルールブック、いわば、契約当事者間の「法律」といえます。
トラブルが現実化した場合には、当事者間で紛争解決する基準となります。そして、訴訟になれば裁判官が判断を下すための基準となります。
また、トラブルが現実化する前は、自社が不利な立場に立たないような行動を選択する指針にもなります。

企業法務弁護士による契約書作成・リーガルチェック(レビュー)のメリット

まず、契約書・利用規約の作成・リーガルチェック(レビュー)を弁護士に依頼することは、弁護士資格を有しない者に依頼する場合に比べて、一般的に、次のようなメリットがあります。

  • 弁護士は、司法試験という資格試験と司法修習という国の研修を経た、民法、会社法などの理論も深く理解した法律専門家です。しかも、契約書の作成などのほか、契約締結交渉の代理、訴訟代理人としての訴訟遂行も行っています。そのため、法令や契約の解釈に通じ、リスクへの感度も高いです。

もっとも、司法試験や司法修習の試験科目やカリキュラムには、ビジネスの現場で使用される契約書・利用規約の作成・リーガルチェック(レビュー)を含みません。

ですので、契約書や利用規約の作成・チェックについては、企業法務分野で契約書などの作成・チェックを取り扱っている弁護士にご依頼ください。

法律案の立案、起案、審査などに関する専門的なトレーニングを受けた弁護士、企業内弁護士

私は、企業法務弁護士であることに加え、立法補佐機関(参議院法制局)などで法律等の立案、起案、審査などに関する専門的なトレーニングを受けた経験と実務経験があるので、さらにプラスアルファの素養を有しています。例えば、実現したいスキームを法的に整理する能力、これを正確に条文で表現する能力、他の法令や裁判例との整合性のみならず内容の現実性・合理性にも検討範囲が及ぶ点などが挙げられます。

また、企業内弁護士として活動していた際には、知恵を出し合い、事業部門との間で、どこまでリスクを取れるか?攻めることができるか?について、協議・検討するという経験を積んできました。

現在、このような法律等の起案などに関する実務経験と実績、企業内弁護士・企業法務弁護士としての契約実務に関する豊富な実務経験と実績活かして、お客様に、契約書や利用規約などの作成・リーガルチェック(レビュー)のサービスを提供しております。

契約リスクマネジメントに関心のある方、どうぞお気軽にお問合せください。

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