フィンテック:送金サービスや収納代行への資金移動業規制を金融業界経験弁護士が解説

はじめに

前回の記事では、「FinTech(フィンテック)のうちキャッシュレス決済サービスや送金サービスには資金決済法の規制が及ぶことが多い。」「同法のどのサービス類型の規制が及ぶのか及ばないのか、規制が及ぶとしても、どんなときにどんな義務が発生し、どんなときには発生しないのか等を把握しておかないと気付かないうちに資金決済法に違反してしまうリスクがある。」という観点から、前払式支払手段の規制概要等について解説しました(「フィンテック:前払式支払手段の規制とクリアランスのポイント5つを金融業界経験弁護士が解説」)。

そこで、今回の記事では、いわばシリーズ第2弾として、送金サービス、収納代行、プラットフォームサービスにおけるユーザー間決済、投げ銭サービス等に適用されることの多い、資金決済法が定める「資金移動業」の規制概要を解説します。

(2022年1月24日追記)

暗号資産交換業規制については「フィンテック:仮想通貨やNFTへの適用が問題となる暗号資産交換業規制とは?金融業界経験弁護士が解説」をご覧ください。

「資金移動業」とは何か?

「資金移動業」の定義

送金サービス等をリリースしたいと考えた場合、資金移動業の規制が及ぶかどうかは、「資金移動業」の定義に該当するかどうかによります。

では、「資金移動業」の定義は、どのようなものでしょうか?
これについては、資金決済法2条2項が、次のとおり定めています。

この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことをいう。

したがって、規制が及ぶかどうかは、検討しているサービスが「為替取引」に該当するかどうかがポイントとなります。

「為替取引」の定義

では、「為替取引」の定義は、どのようなものでしょうか?
まず、日本の法律に「為替取引」の定義を定めた条文は存在しません。

もっとも、「為替取引」の定義は、次のように解釈されています(最決平成13年3月12日)。

顧客から,隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて,これを引き受けること,またはこれを引き受けて遂行すること

複雑な言い回しですが、日常用語を使って表現するならば、「直接現金を運ばない仕組みにより行う送金サービス」というイメージとなります。

「為替取引」の典型例としては、銀行の行うサービスのうち、受取人の預金口座に入金する「振込み」、預金口座を介さずに資金を送付する「送金」、手形や小切手等による金銭債権に関して取り立てる「代金取立て」が挙げられます。

これに対して、現金書留は、直接現金を運ぶものなので、「為替取引」に該当しません。

そうすると、文字通りの送金サービスや投げ銭をリリースしようとするならば、ばっちり「為替取引」に該当しそうです。
(もっとも、いわゆる投げ銭サービスは、「為替取引」に該当しないと評価し得るような法的スキームを設計して行われている場合があります。)

また、例えば、ユーザー間で取引をすることができるプラットフォームをリリースしようとする場合には、ユーザーAのアカウントからユーザーBのアカウントへお金を移動する仕組みを実装することもあるでしょう。このようなプラットフォームサービスにおけるユーザー間決済も、サービス設計次第では「為替取引」に該当する可能性があります。

一方、私たちは、通信販売で買った本やチケットの代金、税金、社会保険料、電気料金等をコンビニで払うことができます(収納代行)。コンビニはチケットの販売業者等にお金を渡しているはずですが、「為替取引」に該当するとして規制を受けているのでしょうか?結論としては、直ちに「為替取引」に該当するものではないとされています。

このように収納代行スキームは、経済的にはお金の移動を実現しているものの、法律的には「為替取引」に該当しない場合があります。

この点、2020年改正法では、次のように、一定の収納代行は「為替取引」に該当することが明確化されました。

為替取引と収納代行

概要

資金決済法制定時に、コンビニによる収納代行等について、為替取引に該当する疑義がある等の意見がありました。

しかし、支払人に二重払いの危険はない等として、必ずしも規制対象とされませんでした。

具体的に説明すると、収納代行業者は、債権者の代理人として、債務者から代金を受け取ります(代理受領)。代理人が代金を受け取ることから、受取りの時点で有効な弁済があり、債務が消滅します。したがって、収納代行業者が代金を債権者に渡さないまま破産等しても、債権者は支払人である債務者に対して代金の支払い請求をすることができません。このように、支払人には二重払いの危険がありません。

もちろん、債権者は収納代行業者からお金を受け取ることができず損失を被ります。
しかし、当時、収納代行における債権者は(一般消費者ではなく)事業者や自治体だったことから、債権者側の保護の必要性はあまり重視されなかったのでした。

ところが近年、割り勘アプリや、フリマアプリやネットオークション等で用いられるエスクローサービス等、一般消費者が債権者となる収納代行の形式をとるサービスがリリースされるようになりました。

そこで、イノベーションの進展や創意工夫により、将来、収納代行の形式をとった新たなサービスが提供される可能性もあることから、今後も収納代行を巡る動向を注視し規制の必要性を判断していくという考え方を取った上で、受取人が個人である「割り勘アプリ」等が規制対象であることが明確化されました。他方、エスクローサービス等については、現時点において規制の必要性に関し、共通認識が得られていないとして、直ちに制度整備を図ることはしないものとされました。

参考・金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ報告」

あらかじめ広く規制することによりイノベーションの芽を摘むことのないように、ということかと思われます。
そして、資金移動業の登録を取得し資金移動業者としての義務を果たしていくことが難しい、生まれたばかりのスタートアップ企業等は、明文で「為替取引」に該当するとされていない範囲で、収納代行スキームを利用したサービス設計を検討することが考えられます。

「為替取引」に該当する収納代行

具体的には、次の要件を満たす収納代行等が、為替取引に該当することが確認されました(資金決済法2条の2、資金移動業者に関する内閣府令1条の2)。
なお、②Aは代理受領ではないものが規制対象になること、②Bは割り勘アプリが規制対象になること、②Cはエスクローサービス(や一定のプラットフォームサービス)ではないものが規制対象になることを意味していると考えられます。

金銭債権を有する者(受取人)からの委託や債権譲受け等の方法により、債務者等から弁済として資金を受け入れる等し、受取人にその資金を移動させる行為(資金を受取人に交付することにより移動させる行為を除く。)であって、

①受取人が個人(事業として、または事業のために受取人となる場合を除く。)であり、
かつ、
②次に掲げる要件のいずれかに該当すること。
A 債務者等から弁済として資金を受け入れた時までに当該債務者の債務が消滅しないものであること。
B 受取人が有する金銭債権が、資金の貸付け、連帯債務者の一人としてする弁済等の方法によって債務者に対する信用の供与をしたことにより発生したものである場合に、当該金銭債権の回収のために資金を移動させるものであること。
C 次に掲げる要件のいずれにも該当すること。
・受取人が債務者に対し反対給付をする義務を負っている場合に、当該反対給付に先立ってorこれと同時に債務者等から弁済として資金を受け入れる等し、当該反対給付が行われた後に受取人に当該資金を移動させるものでないこと。
・受取人が有する金銭債権の発生原因である契約の締結の方法に関する定めをする等、当該契約の成立に不可欠な関与を行い、債務者等から弁済として資金を受け入れる等し、当該受取人の同意の下に、当該契約の内容に応じて当該資金を移動させるものでないこと。

なお、これらの規定により為替取引に該当するとされなかったとしても、将来にわたって直ちに為替取引に該当しないことを意味するものではありません。
また、事業者の行為が為替取引に該当するかは、その事業者が行う取引内容等に応じ、最終的には個別具体的に判断されることにも注意が必要です。

収納代行以外の「為替取引」ではないと評価しうる「送金サービスっぽい」スキームについて

この記事では解説しませんが、収納代行スキーム以外にも、前払式支払手段をユーザー間で授受できるとするスキームや、支払人がプラットフォーマーに支払う対価の一部をプラットフォーマーが受取人に利益分配するスキーム等により、「送金サービスっぽい」サービスを実現している事例もあります。実際、ライブ配信における投げ銭サービスも、このような「為替取引」ではないと評価しうる「送金サービスっぽい」スキームを採用しているものがあります。

ですので、経済的にはユーザー間でお金が移動するようなサービスであっても、為替取引に該当しない範囲の収納代行スキームやその他の「送金サービスっぽい」スキームにより、「為替取引」に該当しないと評価しうることがあるので、(すぐに諦めず)代替的なスキームを検討する価値があると思われます。

資金移動業の登録制度

登録制度の意義

前述の為替取引の具体例からお察しかもしれませんが、為替取引は「銀行業」に含まれます(銀行法2条2項)。

銀行業=①預金等の受入れと資金の貸付け等とを併せ行うことor②為替取引を行うこと

そして、銀行免許を受けないで銀行業を営んだ者は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、または両方を科すとされています(銀行法4条1項、61条2号。法人処罰規定あり)。

このように、銀行法上、為替取引を営む者は銀行に限定されています。
これは、「為替取引が隔地者間における資金授受の媒介を行うという経済的に重要な行為であり、また、為替取引は実態的に信用関係を伴っている…為替取引を営業として行う者に十分な信頼がおけなければ為替取引の利用者は不安な状態に置かれ、利用者の保護に欠けることになる…銀行の信用機能を信頼してこれにゆだねることとした」(小山嘉昭・詳解銀行法)とされています。

確かに、「Aさんに、この100万円を届けてくださいね。今日までに払わなければいけない売買代金なんですよ。」と言って送金業者にお金を託したのに、そのお金が届けられずに使い込まれてしまったら、代金債務の不履行になるし、再びAさんに100万円を払わなければならないし、使込みをするような業者に「100万円を返してください。」と言ってもお金が返ってこなさそうですし、さんざんですね。また、Aさんが、この100万円で融資の返済をしようとしていたのに、期日までに返済できなくなってしまって破産したりしたら、混乱が広がりそうです。お金は社会のいわば血液で、信頼できる送金網は社会の必須のインフラだというのは本当ですよね。

そして、このように経済的に重要な為替取引は、かつては、厳しい規制と監督を受ける銀行の独占業務でした。

しかし、昨今の金融自由化の流れの中で、資金決済法の施行(2010年)により、銀行等以外の者も、内閣総理大臣の登録を受ければ、銀行免許がなくても、為替取引(資金移動業)を営むことができるようになりました(資金決済法37条)。

なお、資金移動業の無登録営業は、上記のとおり銀行法4条1項、61条2号で処罰されます。資金決済法に処罰規定はありません。ですので、罰則を探す際には注意が必要です。

登録要件

資金移動業の登録を受けるため必要な要件には、主として次のものがあります(資金決済法40条1項)。

・資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要な財産的基礎を有すること。
・資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要な体制の整備が行われていること。
・資金決済法の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていること。
・他の資金移動業者と誤認されるような商号や名称を用いていないこと。

これらの要件を1つでも満たさない場合、登録が拒否されます(登録拒否事由)。

なお、第三者型前払式支払手段の発行業務の登録と異なり、資金移動業の登録において、純資産額が一定以上であることは要件とされていません。

もっとも、後述のように、供託義務が課される最低要履行保証額は、原則として1000万円(例外として、一定の第三種資金移動業は0円)ですので、これに耐えられる財務状況であることは必要となります。

資金移動業の種別

かつては、資金移動業は、1回当たり100万円以下の為替取引を対象とする種別が1つあるだけでした。しかし、2020年改正法により、100万円を超える為替取引も取り扱うことができる種別と、5万円以下の為替取引しか取り扱うことができない種別が創設されました(資金決済法36条の2、同法施行令12条の2)。

そして、これらの3つの種別においては、扱うことのできる金額・リスクに応じ、その規制内容に差異が設けられています。

第一種資金移動業

第一種資金移動業とは、資金移動業のうち、100万円を超える高額の為替取引を営むことができるものをいいます(資金決済法36の2第1項)。

認可制

高額の為替取引はその履行が確保されない場合に、お金の受取人が資金繰りに窮するなどの社会的・経済的な影響が大きくなります。

また、テロ資金供与及びマネー・ローンダリング対策の重要性も相対的に高まることとなります。テロ資金供与やマネー・ローンダリングのために送金サービスを利用しようとする場合、1回の取引金額が大きければ大きいほど、手数も少なく効率的に目的を実現できてしまうからです。

このようなリスクの高さのため、資金移動業者は、第一種資金移動業を営もうとするときは、業務実施計画を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければなりません(資金決済法40条の2)。
無認可で第一種資金移動業を営んだ者は、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またはその両方を科すとされています(資金決済法108条1号。法人処罰規定あり)。

厳格な滞留規制

また、これらのリスクの低減のため、第一種資金移動業を営む資金移動業者には、厳格な滞留規制が課されています。
具体的には、送金額、送金日、送金先が明らかでない資金の受入れが禁止されています。また、送金事務を処理するために必要な期間を超えて、資金をユーザーアカウントに滞留することが禁止されています(資金決済法51条の2、資金移動業者に関する内閣府令32条の2)。

第二種資金移動業

第二種資金移動業とは、資金移動業のうち、100万円以下の為替取引のみを営むことをいいます(資金決済法36条の2第2項、同法施行令12条の2第1項)。

2020改正法施行前からあった、100万円以下の為替取引を取り使うタイプが、これに対応しています。

滞留規制

もっとも、送金との関連性に疑義がある資金がユーザーアカウントに滞留する場合、
①資金移動業者が破綻した場合、ユーザーがお金の還付を受けるまでに時間がかかってしまうこと等から、利用者保護の観点からマイナスであるおそれ
②余計なお金を預かってしまうことにより、資金移動業者において、後述する供託義務等を果たすに際して、利用者資金の保全コストを(本来負担しなくてよかったはずなのに余計に)負担するおそれ
③出資法第2条の預り金規制に抵触する疑義が生じうること(資金移動業者は、銀行等と異なり、預金等を受け入れることが禁止されています。公衆からお金を預かっておいて破綻されたら、困っちゃいますよね。)
④経済活動に活用されない資金が増加することにより経済的悪影響が生じうる(銀行預金は、融資等に使われ、社会のどこかで活躍しえます。)
といった問題点があります(金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ報告」p8、注14参照)。

そこで、第二種資金移動業を営む資金移動業者は、ユーザーからの受入額が100万円を超える場合、送金に用いられるものであるかどうかを確認するための体制を整備しなければなりません。また、受け入れた資金のうち為替取引に用いられることがないと認められるものについて、払出しの要請や返金等、かかる資金を保有しないための措置を講じなければなりません(資金決済法51条、資金移動業者に関する内閣府令30条の2)。

第三種資金移動業

第三種資金移動業とは、資金移動業のうち、5万円以下の為替取引のみを営むことをいいます(資金決済法36条の2第3項、同法施行令12条の2第2項)。

第三種資金移動業を営む資金移動業者は、各ユーザーから5万円を超える資金を受け入れることも禁止されています(資金決済法51条の3、同法施行令17条の2)。

滞留規制

そのため、5万円を超える送金依頼を受け付けない仕組み、アカウント残高が5万円を超えない仕組み(例えば、Aさんが、Bさんのアカウントに対して4万円を送金するよう場合、Bさんのアカウントの残高が3万円だったとき、Aさんは送金できないこととしたり、5万円を超える2万円分について、自動的にBさんの銀行口座に出金することとしたりする等)を講ずる必要があります(事務ガイドラインV-3)。

利用者資金の保全規制

履行保証金の供託等

ユーザーが送金のために渡したお金を、資金移動業者が流用したり破産したりする等して、受取人にお金が届かないという事態が発生するようでは、ユーザーは損害を被りますし、そもそも危なさすぎて、その送金サービスを利用できませんよね。

そこで、資金移動業者は、資金移動業の種別に応じ、資金移動業の種別ごとに履行保証金を、供託所に供託する義務があります(資金決済法43条1項)。

これは、ざっくり説明すると、送金途中の金額と、資金移動業者が破産等した際のユーザーへの還付手続きに要する費用の合計額(要履行保証額)以上の履行保証金を供託所に積んでおきなさいという規制です。

そして、第一種資金移動業については、各営業日ごとに要履行保証額を算定して、履行保証金を2営業日以内に供託し、第二種資金移動業と第三種資金移動業については、1週間ごとにその間の要履行保証額の最高額を算定して、その最高額以上の履行保証金を3営業日以内に供託することが義務付けられます。

わかりやすさの観点からざっくりとした説明をしておりますので、詳細については資金決済法43条、資金移動業者に関する内閣府令11条をご確認ください。

なお、供託すべき最低要履行保証額は、原則として1000万円とされているので注意が必要です(資金決済法43条、資金移動業者に関する内閣府令14条1号)。

また、履行保証金の全部または一部を、履行保証金保全契約(銀行等が資金移動業者のために内閣総理大臣の命令に応じて履行保証金を供託する旨の契約)や履行保証金信託契約(信託会社等が内閣総理大臣の命令に応じて信託財産を履行保証金の供託に充てることを信託の目的として当該信託財産の管理その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の信託契約)によって保全することも可能です(資金決済法44条、45条)。

預貯金等による管理

第三種資金移動業は、他の種別の資金移動業と比べて、資金移動業者が破産等した時の経済的な影響は相対的に小さいという意味で、相対的にリスクが小さいといえます。

そこで、第三種資金移動業者は、ユーザーの資金を自己の財産と分別した預貯金等(分別管理預金)により管理する方法(預貯金等管理方法)により管理を行うことが認められています(資金決済法45条の2)。

これにより、預貯金等管理方法により管理する金額の分だけ、要履行保証額が少なくなります(資金決済法43条2項本文)。これにより資金移動業者の負担が減少しえます。

加えて、ユーザーから受け入れた資金の100%を預貯金等管理方法により管理する場合、最低要履行保証額は、1000万円ではなくて、0円になります(資金決済法43条2項ただし書き、同法施行令14条2号)。これにより、履行保証金を供託等により保全する必要がなくなります。これはメリットが大きいと思われます。

もっとも、分別管理預金は、預貯金口座の名義にその旨が明らかにされていることが必要です(資金決済法45条の2第1項1号)。
また、定期に、公認会計士・監査法人の監査を受けなければならないとされています(同条2項)。そのため、監査費用も掛かるので注意が必要です。

他方、預貯金等管理方法による管理が行われる場合、供託等の管理方法と異なり、資金移動業者が破産等した場合、ユーザーに優先権がなく、十分にお金の還付を受けられないおそれがあります。
そのため、預貯金等管理を行う第三種資金移動業者は、破綻時のリスクに関する情報の提供を充実させることが求められます(事務ガイドラインV-3)。

利用者保護措置

資金移動業者は、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明、手数料その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供、ユーザーから受け入れたお金のうち為替取引に用いられることがないと認められるものを保有しないための措置その他の資金移動業の利用者の保護を図り、及び資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じる義務が課されます(資金決済法51条、資金移動業者に関する内閣府令28条、29条等)

これらの措置の中には、例えば、
・不正ログイン等、第三者による不正利用により発生したユーザーの損失の補償等に関する方針についての情報提供(資金移動業者に関する内閣府令29条の2第5号)
・警察等から振り込め詐欺に利用された旨の情報提供があることその他の事情を勘案して犯罪行為が行われた疑いがある場合の取引停止措置(同令31条1号)
・他の者のウェブサイトに遷移する際等における資金移動業者と当該他の者との誤認防止措置(同条2号)等が含まれます。

情報の安全管理(個人利用者情報の管理態勢、システムリスク管理)

資金移動業者は、資金移動業に係る情報の漏えい、滅失、き損の防止その他の情報の安全管理のために必要な措置を講じる義務が課されます(資金決済法49条、資金移動業者に関する内閣府令24条、25条、26条)。

これらに加えて、個人情報保護法、個人情報保護法ガイドライン(通則編、外国にある第三者への提供編、第三者提供時の確認・記録義務編、匿名加工情報編)、「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」、「金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針」の規定に基づく適切な取扱いの確保が求められます。

その他

資金移動業者は、委託先に対する指導等、業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講ずる義務(資金決済法50条)、指定資金移動業務紛争解決機関との契約締結義務等(同法51条の4)等が課されます。

犯罪収益移転防止法

また、マネー・ローンダリングを防ぐため、犯罪収益移転防止法により、資金移動業者は、10万円を超える現金の受け払いを伴う為替取引、または、為替取引を継続的にまたは反復して行う契約を締結するとき(具体的にはアカウントの作成等)に、本人確認等、「取引時確認」を実施する義務(犯罪収益移転防止法4 条1 項、犯収法施行令7条1項1号ツ・ナ)を負う等、各種措置を講じることが義務付けられます(事務ガイドライン、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン)。

まとめ

以上の解説をまとめると、次のとおりです。

弊社では、送金サービス、収納代行、プラットフォームサービスにおけるユーザー間決済、投げ銭サービス等、クライアント企業において提供するサービスが「為替取引」に該当するのか、これを回避するスキームはないか等のご相談等、送金サービス等のサポートに関する豊富な実務経験と実績を有し、また金融機関の勤務経験も有する弁護士が対応しています。送金サービス等のリーガルチェックの必要性は高いですので、お気軽にご相談ください。

・「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むこと
・「為替取引」とは、直接現金を運ばない仕組みにより行う送金サービス
・資金移動業の登録を取得し資金移動業者としての義務を果たしていくことが難しい場合、明文で「為替取引」に該当するとされていない範囲で、収納代行スキームを利用したサービス設計を検討することが考えられる。収納代行スキーム以外にも、前払式支払手段をユーザー間で授受できるとするスキームや、支払人がプラットフォーマーに支払う対価の一部をプラットフォーマーが受取人に利益分配するスキーム等により、送金サービスライクなサービスを実現している事例も存在する。
・資金移動業には3つの種別があり、扱うことのできる金額・リスクに応じ、その規制内容に差異が設けられている。
・その他、資金移動業者は、利用者資金の保全、利用者保護措置、情報の安全管理、犯罪収益移転防止法に基づく措置等が求められる。

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